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昨年自宅を改装工事をしまして、仕事をしながら暮らす・公を感じるスペースをもつ「働く家」をつくりました。
そこで、この場所にみんなで集まりリノベーションのことやいろいろ話してみました。
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◎キッチンのこと・・・・・・・・(左:改装前 右/改装後)
石原:今ちょうどこのくらいのリフォームを考えている方がいるんだけど、
台所のこれはいいアイディアだね。(30年前のキッチンセットのキャビ
ネット本体やカウンター・シンクはそのままに、ガスコンロなどの機器
類と、扉のみ交換した)
平間:古いものを利用できた点ではよかったんだけど、金額的には、扉の他にレンジフードやガスコンロや水栓とか、バラバラに発注になると、既製品の汎用品キッチン1セット(機器類込)に近いくらいの金額になってしまうんだよね。。だから、木の扉とか、造るキッチンが好きな人にはいいアイディアだけど、使い勝手が満足できればいいという方の場合には、キャビネットもカウンターも全て新しくセットで入れ替える方がいいのかも。。
橋垣:メーカーの既製品のキッチンセットって本当に機器類入ってるのかと思うほどビックリするような安い金額だよね。
廣谷:古いキッチンを外して処分して、床・壁を補修してという手間を考えるとやはりいい方法だと思う。
平間:私もそう思うんだけど、一般的な工務店やリフォーム業者さんは、だいたい「全部入れ替えちゃった方が早いよ!」って言うよね。。今回も言われたけど、終わってみればやはりいい方法だったと思う。
橋垣:一度古いキッチンを外してまた付けるのであれば確かに大変かもしれな
いけど、外さずにこのままで扉や機器の交換ということだったらいいよ
ね。
廣谷:新築の場合でも(木の扉等造るキッチンが好きな方がいたら)金額抑え目のキッチンセットを入れて扉だけ木製に入れ替えるのも一つの方法だよね。ただ造作キッチンを希望する方だとエンボス加工のステンレスカウンターや円みのある形状とかがちょっと引っかかってしまう人もいるかもね。
橋垣:そうだね。こういう改修の時に、いい方法なのかもしれないね。
内:因みに今回のこのキッチンの扉はおいくらくらいかかったんですか?
平間:扉だけで12~3万くらい、取手の金物がちょっとお高い(スガツネdline)ので全部で7万円くらい・・。ちょっと金物がね、、。
橋垣:でもやっぱり金物は大事だよね。機能もだけど醸し出す雰囲気も大きい
と思う。
平間:この形だとどこでもタオルや布巾が掛けられるし、エンドが飛び出てないからポケット引掛けることもない、横に長いと扉や引出を開けるときに楽。ということで少し頑張りました。
橋垣:ゴミ箱もピッタリ納まっていて、こういう既製品をうまく使うということも考えていきたいよね。
平間:今建設費もすごく上がってきているので、全てを造作でというのも難しくなっているからうまく組み込んでいい感じにしてコストを抑えるというのがうまくなりたい。
内 :私もこの前、既製品をうまく組み込むことに挑戦したんだけど、設計も現場も結構手間がかかってしまって。
廣谷:今までとは違った技が必要になりそうですね。

◎塗装のこと・・・・・・・・・・・
橋垣:室内の木部の塗装は何を使っていますか?
平間:基本的にはオイル系です。なかなかスルスルな肌触りにはならないんだけど・・・。 水回りの木部はウレタン入れてもらっちゃった。
橋垣:オイルはただ塗ると毛羽立つよね。1回塗ってからもう1回ペーパーあてて塗るときれいに仕上がる。
内:以前に、フローリングのオイル塗装は施主施工で一緒にやる予定だった時に、サンプルで試したらザラザラになってしまって、自分で床全体にサンダーをかけたことがありました。
廣谷:ワックスはどうなのかな。
橋垣:自然素材系のワックスは床などに塗ったあと時間が経つと黒くなることがあります。メーカーに確認したら、完全に乾く前に触ったり乗ったりしてしまうと汚れが付いてしまうということだったんだけど、塗ったあと完全に乾くまでずっと現場に誰も入らないということは無理ですよね。
廣谷:私の自宅もメンテナンスを自然素材のワックスでやっているのだけど、黒ずんでいるところがあるので、年に1回自然素材系のクリーニング用ワックスを使って汚れを落としてる。
平間:きれいになった?
廣谷:スポンジなどに付けて、少しがんばってこすればキレイになるよ。
橋垣:工務店の人はワックスで床を塗った場合にが黒くなることを知っている人も多いけど、設計者に聞くと知らないことも多いので、工務店の人が汚れを落としたりしてくれているのを設計者が知らないということもあるみたい。
廣谷:私の自宅も、杉の板を使っているんだけど、すごくきれいに経年変化し
ているところもあるけど、廊下や食堂などよく歩く部分や風の通り道に
なっているところが部分的に黒ずんできてる。
平間:ワックスは汚れを吸い寄せてしまう部分もあるんだよね。
廣谷:そういうことを考えるとオイル系の方がきれいに保てるのかな。
橋垣:天井とか柱とか汚れが付かないところはワックスでもいいよね。

◎家具のこと・・・・・・・
石原:この合板だけで造ってある引
戸、しっかりしてるね。
平間:私は図面にナラ合板厚さ9mmと書い
たんだけど、現場に入ってきたときに
見たらナラ合板3mmの裏側にポリ合
板5mmが貼ってあった。。
石原:それでしっかりしてるのかもね。いい考えだね。
合板の建具は(フラッシュ構造でないもの)小さな引戸にしても結構反っ
ちゃうんだよね。
平間:9mmくらいあると反らないみたい。でもこういうのさりげなく職人さんがやってくれるんだけど、さっきのワックスの話みたいに設計者が気づかないままだったりするから言ってくれるといいよね。
橋垣:この既存の引出を使うっていうのもいいよね。
平間:引き出しは造ると高いからっていうのもあるけど、今まで使っていた家具を捨てるという罪悪感の軽減の為というのも大きい(笑)

◎新築かリノベーションか・・・・・・・・・・・・
平間:新築かリノベーションかというので悩むということがあると思いますが、どういうところで決めることが多いですか?金額的な面もあると思うけど・・・。
石原:あとは時間的なことも多いかな。家を何年もたせるかということもあるよね。
橋垣:リフォームの内容によっては新築に近いくらいの金額になってしまうこともあるよね。
廣谷:何を大事にして、どう選ぶかということだよね。
石原:リフォーム工事はやっぱり難しい、残すことは大変なんだけど、おもしろいよね。 いろんな、例えば時間もつながっていくから。
橋垣:新築に近いくらいの金額がかかっても、残すという選択肢もあるよね。そこはやっぱり残したいという気持ちというところだよね。
石原:その家の物語が面白い。いろんなエピソードが繋がったりして。
廣谷:最初の建物のポテンシャルも重要だよね。建てた時の大工さんのこととか、思い入れのある建物であれば残したいという気持ちになるよね。
平間:私もこの家が建った時のこともすごく覚えてるし、よくできてる家だったので、建て替えようという気は一切起きなかったな。お金があったとしても。。
この家の工事が始まるときも、内装が変わるだけなんだけど、暫くホームシック状態になりました。もう今まで過ごしてきたあの居間には戻れないんだっていう。。今回は2階はいじらなかったので、それは救いでした(笑)
でもこの家の前の家というのは築18年で建替えたのだけど、なぜかそういう気持ちは薄かった。今のこの築30年の家よりもずっと古く感じる家だった。。この家は足回りがしっかりしてて、床下の換気がよくて防湿コンクリートも打ってあり年の取り方が遅くて、同じ築年数の家と比べて若いという感じです。やっぱり最初にある程度きちんとつくってあるというのも大きいですよね。
石原:私がいた奥村事務所も(事務所と家)、改築に改築を重ねてたけど、できてみるとすごく面白
くて新築にはない良さがある。リセットされないよさというのかな。古いとか寒いとかい
ろいろあるんだけど、なかなか得難いものがあるなぁといつも思ってた。
内: そういうことってそこに住んでいる人にしかわからない部分もたくさんあるから、仕事として関わる時になかなか読み取るのが難しいこともありますよね。割り切る部分は特にそこに住んでいた人にしかできないこともある。。
平間:ほんとにそうだね。やっぱり一概に金額面でいくら以上だったらとか線を引くことはできないですね。。
時間がつながる、、それがリノベーションの醍醐味かもしれないですね。そういうことを意識していきたいです。
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今回のリノベーションでは人が集まりやすい家ということも意識していましたので、このような時間がもてることもとても嬉しい。。
カウンターに組み込んだピアノを石原さんがポロポロと弾いてくれたり、みんなでお昼ごはんを食べたりして、楽しい時間を過ごしました。
平間 千恵子
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