暮らしの中の灯り

2月は廣谷さんがマンションリフォームを手掛けたご自宅に伺い、素材や納まりのこと、照明のことなどについてみんなで話をしました。

 

マンションリフォームでの仕上げ材の使い方

 

今みんながいるこの自宅マンションをリフォームした時に、壁から天井まで同じ左官仕上げにしたんだけど、戸建ての木造住宅の設計の場合にはあまりやらないような気がしてるんだけど、、、。

:私はそうすることあるよ。

:私も壁と天井を同じ仕上げにすることもある。予算や状況によって違うけど。

:私もやります。その場合は天井の施工性を考えて、コテ塗り仕上げじゃなく、ローラー塗りのことが多いです。

:そうなんだ、、、。あと聞いてみたいこととしては、この家はあちこちにの天井にコンクリートの大きな梁が見えているんだけど、各部屋が6畳程度でとても狭いだけに壁と天井を違う仕上げ材にする場合には、梁の部分の仕上げをどうするか悩んでしまい、結局は色々な素材を使わずに、シンプルに壁と天井、梁をすべて同じ仕上げ材にしちゃったんだけど、そういう場合にみんなはどうしてるの?

:一年前に竣工した改修では、その部分を間接照明にして天井を照らすようにしました。照明の一部にすることで、梁の唐突さを隠しました。

:仕上げは?

:天井はホタテ漆喰塗りで、照明の細工部分はホタテ漆喰と同色のペンキで塗りました。

なるほどね~。

父と母の家(設計:ウチアトリエ)

中央の天井が梁を利用してつくった間接照明

 

 

LED照明

 

:少し話がそれるけど、竣工したばかりの店の看板で、初めてLEDの面照明を使ってみようと思って打ち合わせに行ったら、聞けばなかなか凄い技術で、もう少し明るくなればきちんとした照明に使えるな、という感じなのね。どういうものかというとアクリル板のような『導光板』と呼ばれるものの小口に薄いLEDがテープのようについてて、距離が600ミリくらいまでなら片側からの光で均一に光らせることができて、面全体が光る。厚さは後ろのアルミの支持板を入れても1センチくらい。

みんな:えー、すごい。おもしろいね。

:例えば棚下灯とか鏡の上の照明に使うとか、これまでの照明器具の概念が大きく変わるものができると思った。最近は駅の広告とかにたくさん使われてるんだけど、端に付いたにLEDをカバーするために必ず額縁があってそれが今ひとつ格好良くないから、今回はいろいろ工夫して額縁がほとんど見えないようにした。埼玉の八潮にある会社(※)で、今度機会があったらみんなで見学に行こうよ。

 ※株式会社ワイ・エス・エム

みんな:行きたいー。

:とにかく簡単な仕組み。アクリル板の端にLEDがついているだけで、LEDの間隔もいろいろある。そこからコードが出ていてそれをつなぐだけで面全体が光る。むずかしい仕掛けもスペースもいらない。まだ暗いので補助的な使い方になるけど、もう少し明るくなってメインの照明にも使えるようになってきたら照明の考え方がだいぶ変わると思う。

:今LEDの照明を選んでいて電球型のLEDというのがあるけど、なんでLEDを電球型にしなくちゃいけないのかな。それってLEDがいかされていないような。今は照明の移行の時期だからしょうがないのかもしれないけど。

:私もそう思う。

:今までの器具でも使えるようにしているということもあるんだろうけど。あとは電球形ではなくてLEDユニットのなっているものもあるけどね。

:LEDだけの交換ができなくて、寿命がきたら照明器具ごと交換しなくちゃいけないものもありますよね。

:LEDの寿命が長いからその頃には器具自体も寿命だから取替えられないってことかな。

:それって30年くらい?

10年くらいじゃない。

:その頃に照明器具ごと交換するってことですよね。そんなことってあるのかな。

:ものによっては器具ごと交換しなくてもLEDユニットだけの交換ができるものもあるけど、10年後にそのユニットが手に入るのかどうかわからないよね。

:設計者としては明るいとか暗いとか言われた時に対応できる方がいいから、そうすると電球型の器具の方が交換しやすい。

:そこの照明器具で使っているのは1000円以下のLED電球なんだけど、やっぱり色みがいまいちな気がしてる。ためしに他の部屋では3000円くらいのLED電球を使ってるんだけど、そっちは色が結構いいと思う。これならLED電球でもいいかな、、と思ってる。 (両方の器具をつけてみんなで見てみる。)

:確かにそうだね。かなり白熱灯の色に近いね。ところで、実際の設計の中ではどんな照明器具を使ってますか。

:基本的には電球色の蛍光灯が多くて、ダイニングのペンダント照明だけは白熱灯を使ってる。

:電球別売の器具を選んで、どの電球でも使えるようにしています。電球の種類は部屋や用途によってお勧めしています。例えば、手の届かない場はLEDだし、すぐにパッと明るくしたいとか雰囲気が必要な場には白熱灯、長くつけっぱなしの場には蛍光灯などです。

:私もそのタイプの器具にしてる。

:私も。

:LEDはまだ明るさというか、同じ「電球色」といっても色味がいろいろあるのでよくわからない。

:みんなが実際に設計している住宅ではLEDの照明器具は使ってないってこと?

:私はまだほとんど使ってない。

:私も。LEDの光の質があまり好きじゃない。

:2年くらい前までは蛍光灯の器具にすることが多かったけど、今はLEDを使うことが多くなっています。LEDの価格も大分下がってきていますし、蛍光灯の器具は白熱灯の器具に比べてLEDに交換できないことが多いので蛍光灯を敬遠しているところがあります。

:最近どんどんLEDも進化しているから色や明るさを確認するためにメーカーのショールームによく行くんだけど、ものによっては蛍光灯よりもLEDの方が白熱灯の色に近い場合もあるし、明るさもどんどんよくなってきてる感じはするけど。金額もかなり安くなってきたし。

電球の種類も重要だけど、住宅の明るさはどうあるべきか、、ということも大事だよね明るさは慣れの影響が大きい気がしてる。住宅が完成して引き渡す時の「暗い」という言葉ってクレームのように聞こえるけど、実はしばらくすれば慣れて大丈夫になることもあると思う。この家でも、あえて以前の家よりもワット数を落とした暗めの電球をつけていたら、やはり両親からは暗いと言われた。でも、電球を変える時間がなくてそのままにしていたら、だんだん慣れてきて、今ではこれでいいってことになってます ()。だからリフォーム前の家と比べたら夜はすごく暗くなってるはず。

:お父さんはこのダイニングのペンダント照明1灯で新聞を読んだりしているの?

:自分の部屋の椅子の真上に照明がついているので、そこで新聞や本を読んでる。

:必要なところに必要な明るさがあれば家中すべてを均一に明るくすることはないよね。

 

灯りの色

廣谷さんのご自宅(マンションリフォーム)
廣谷さんのご自宅(マンションリフォーム)

:両親は照明の色をオレンジ色の電球にするのも最初は嫌がってました。そもそも改修前は、家の中に電球色の照明器具がなかった、、、。

:ダイニングの照明は暖かみのある電球色の灯りにする場合がほとんどだけど、新聞とか本を読むことが多い家では白い色の電球で明るくしたいという要望のこともありますね。

:慣れてしまえばオレンジ色でも明るさが十分ならいいんじゃないの?

:いや、文字をはっきり読みたい時や作業する時はやっぱり同じ明るさでも白の方が見やすいんだよね。

:そっか。でもオレンジ色の灯りと白い色の灯りでは食事の見え方が全然違いますよね~。

みんな:そうだよねー。

:私はオレンジ色の電球の方が落ち着くしきれいだと思っているのでそれを使っているけど、人によっては白い色の電球の方が好きだという人もいるから、なかなかむずかしいよね。

:寛ぐ場の灯りを、白い色の方がいいという方に対して、オレンジ色の灯りの方が落ち着くこと、電球の色だけの問題ではなくて空間の考え方が根本的に違うことを、伝えていく事を大事にしています。

:オレンジ色の暗い照明では落ち着かないから絶対イヤだいう人に無理に押し付けるわけにもいかないかと。

:でも人間は昔、火を灯して暮らしていて、その流れで白熱灯があるわけで、夜に太陽の明るさのような白い光があっても落ち着かないんですよね。

:うちの家や妹の家は白熱暗めの照明にしていて甥っ子たちもそれに慣れているんだけど、ある日家電量販店の白い明るい電気がこうこうとついた店内に入ったとたんに突然ワーっと元気になって走りだしたんだよね。

:でも夜まで元気でいる必要はないしね。

専門家の研究でも、蛍光灯の光を浴びると眠気を抑制する物質が出るという結果が出ていて、夜に蛍光灯の光をあびすぎると子供の寝つきが悪くなるというのが明らかになっている。だから逆に塾が蛍光灯を過剰なまでにたくさん使っているのはある意味理にかなっているんだよね。

:明るさを調光できるLED照明もあるけど、白熱灯を調光して暗くした場合はいい感じになるんだけど、LEDで調光すると一気にさびしい感じになるんだよね。

:ダイニングなどのメインの照明を白い色にする場合は、場を照らす照明ではなくなって、全体を均一に明るくする照明にかわっていくっていうことなんですよね。

:一概に何がいいというのではなくって、そこでどういう行動をするかという用途によって選ぶのがいいと思うな、、、。

:同じ家のダイニングでも白い光で明るくしたい時もあれば、食事時にオレンジ色の光で少し暗めにしたい時もあるというご要望の場合もあるので、状況のあわせて使い分けられるように2種類の照明を計画しておくこともある。スイッチをわけておけば必要な方だけつけることもできるし。

:それはいいよね。

:高齢の方は、色の識別や照度の関係で、昼白色の照明の方がいい場合が多いかな。

:その場合もあるし、あとは子供が小さくていろんなところで読んだり書いたりすることが多いからっていう場合もあるし、いろいろかな。暗いところで物を読んだり書いたりしない方がいいとか。

:でも暗いところだと目が悪くなるといことは、実は都市伝説的なもので、証明されているわけではないらしいよ。

:そうそう、近くのものを同じ距離を保ったままで見続けることがよくないんだって。暗いと目を近づけて一生懸命見てしまうというのでよくないということかもしれないですね。

:子供が何か読んだり書いたりしはじめたら電気つけちゃうなぁ。内さんのところは?

:暗いところでも目が悪くならないという話を聞いてからは気にしなくなりました。本人が暗いと不便だから、読んだり書いたりする時は明るい場所で自然とやってますね。ダイニングテーブルの机上が一番照度が高いから、「ちゃんと椅子に座って机の上でやりなさい」って言わなくてすみます()

 

話しは変わるけど、自宅では部屋の端に寄せてスポットライトを4灯つけていて、天井を照らしているんだけど、ダウンライト無しでも反射で明るいよ。図面上での感覚よりずっと明るい。

 

 

 

 

花桃のアトリエ(設計:ウチアトリエ)

 

 

:反射を利用すると本当に明るくなるよね。以前設計した家のトイレに10Wくらいの白熱球の暗い照明1個だけをつけたことがあったんだけど、暗いかと思っていたら鏡に反射していたから全然暗くなかった。照明器具を白い壁や天井に近づけて取り付けると反射して明るくなるので、照明器具の取り付け位置によって同じ消費電力でも明るさが変わってきます。