
前回の5人でのおしゃべりのテーマは造作材でした。
その話の中で出てきたのが樹種とその特徴のことですが、杉は柔らかくて気持ちいいよ!という話をさせてもらいました。
ちょうど我が家はリフォームで無垢の杉板の床にしています。
杉のようにやわらかい樹種を床に使う場合の「ポイント」や「覚悟しておいた方がいいところ」など、ご紹介したいと思います。
杉などに代表される針葉樹は、軽くて軟らかいという特徴があります。なぜ軽くて柔らかいかというと、細胞が大きく材の中に空気をたくさん含んでいるから。
小さな空間に密閉された空気は熱を伝えにくいという性質があります。こういった木材は、熱を伝えにくいので暖かく感じます。代表的な樹種としては杉や桐などです。
もし杉を床材につかうなら、この触った時の「柔らかい」「暖かい」といった感覚を活かさない手はありません。そのためのポイントは、材料の仕上げ、塗装にあると思っています。
塗装のこと
柔らかくて、暖かい感覚を活かすために、我が家ではウレタンなどのようないわゆる床を保護する機能を持つ塗装はしませんでした。とはいえ塗装をしない木材は、少し汚れた手で触っただけでも手の跡が付いたりして非常に汚れやすくなります。
そこで、手あかはつかないけど、杉の質感を損なわないもの。そしてなるべくなら安全なものを、ということで、キヌカという米ぬか油を塗ってもらいました。
床を米ぬかで磨くというのは、昔からの日本の智恵ですが、それの現代版です。無色透明で、塗ったあともほとんど見分けが付きません。
竣工してから始めて床に足をつけた時、杉の木の感覚が足の裏にしっかり伝わってきて何とも言えない幸せな気持ちになれました。今でも、真冬以外は帰宅すると靴下を脱いで素足でペタペタ過ごしています。
ただしこういった塗料には、
水をちゃんとはじいたり、食べこぼしなどの汚れを防ぐような機能は期待できませんので、と多少の汚れは気にしないという決意(笑)が必要です。

竣工後は、掃除機で普通に掃除をしていますが、年に1回だけ、大みそかの日に床のメンテナンスするのが恒例になりつつあります。
台所、トイレと洗面所、ダイニングといった汚れやすいところだけを、「木塗水」というクリーナー機能のある自然系のメンテナンス用塗料で磨き、台所とトイレ、洗面所は、水をはじく機能を増すために「木塗蝋」というワックスを塗っています。
これらは、シオンという盛岡の会社が作っていて、食べても安全な材料のみで作られているので、素手で触っても(私は)大丈夫ですし、あと片づけも楽なのでお勧めです。


食品トレイにワックスを入れて、スポンジに付けて床を軽く磨いて、浸透しなかったワックスを布でふき取ります。お醤油をこぼしたりしたところは落とせませんが、ちょっとした汚れは落ちて、床全体のくすみが取れます。
さらにトイレや台所など、水が掛りやすいところは、木同じようなやり方で塗蝋ワックスを塗って完成です。ワックスの方は乾燥するのに丸1日掛ります。
※ 木塗水も木塗蝋も杉などの針葉樹との相性のいい塗料です。ナラなどの堅い木の場合は使い方が異なるので注意してくださいね。また木塗蝋ワックスを使った布の処理には注意が必要です。合わせてご注意を!
キズのこと
柔らかいということは、裏を返せばキズが付きやすいということ。
我が家の床にもたくさんのキズがついています。
では、どんな場合にキズが付くかというと、、、、
1. 椅子の足(鉄製の脚の椅子は針葉樹計の床には向かないように思います。)
2. キャリーバックや突起のあるかばん(重い荷物を入れている場合)
3. とがったもの(本の角など)を落とす
とにかくキズはつきものですが、凹んだからといっても、色も質感も変わらないので私は特に気にしていません。
このキズがつきやすいということは、柔らかくて暖かい質感と引き換えに覚悟することになります。
どうしても気になる場合の対策として、キズの部分に水を含ませて、アイロンで暖めると元に戻る!?というようなことを聞いたので実験してみました。
床のキズは復元するのか?
自室のキズの修復を試みてみました。結果はいかに!


とまあこんな感じとなりました。
ちょっとした深さのキズであればかなりの復元率だと思います。
しっかり着いてしまったキズについては、目立たなくはなりますが、元通りとはいきませんでした。
やってみての感想としては、ちょっとした深さのキズには効果的ですが、
よく考えたらちょっとしたキズは気にもならないのですよね!
どうしても気になる大きな傷ができたときには、試してみたいと思います。
私としては「キズがついたりすることも含めて家に愛着をもつ」という考えで、これからも過ごしたいと思います。
※今回は、キズになってから、時間がかなりたったもので試しています。できたてホヤホヤのキズでしたら、また効果も変わってくるかもしれませんね。また機会があったら実験してご報告しますね。
廣谷純子
みっつデザイン研究所