造作材のこと

 

造作材(窓やドア枠・巾木など)

 

:枠(建具などの木枠)ってどのくらいの寸法でつくってますか?見附とか。

:私は2427で、その現場によって悩むケースが多いかな。

:私もだいたいそのくらい。

:私は、殆どやらないけど細くて21とか。24ぐらいが多いですけど。

:吉村(順三)さんのお話を聞くと、やっぱり値段のことだとか材料をいかに少なくするかということもすごく考えていて、要するにデザインだけで決めてないんだよね。

:天井高の話もそういうことがあるそうだよね。7尺(2100)のベニヤ+巾木で天井高2160になるっていう。。

:すごく合理的。

廣:でもその辺は少し難しくて、実際現場では「入ってきた材料がそのまま使えるわけじゃないんだから、そう計算どおりにはいかないよ」となってしまうこともあるんですよね。

(設計者の)自己満足って?

:端材がでないように割って、これで安くできるよ!って現場に持っていたら、合板なんかは端が傷ついていたり、微妙に曲がってたりして、結局余計に発注することになるから変わらないとか言われたことある、、、。(笑)

:さっきの枠材の寸法のことだけど、材木屋さんや工務店さんによって同じ見附の枠材をつくるのにいくつの寸法の材料を削ってつくるのかがいろいろなので、それを確認してからできるだけ無駄のない寸法を決めています。あと1ミリ小さければひとつ小さいサイズの材料から削れるとか、そういう声を聞くようにしています。このくらいの寸法にしたいというのをその場所によって大体決めてからの話だけど。

私は壁と枠とか部材の構成を考えるのが好きなので枠詳細図を書くのが好きなのだけど、枠が何ミリが美しいか、、とかいう視点ってあまり得意ではないです。

:でもその図面の書き方で(枠寸法の記載で)金額に影響するし、見た目もかわってくるからね。

:そうそう、それはやっぱりそうだよね。

:見積をする時の図面を書くときは、枠の寸法をどうするかっていうのはものすごく悩みますね。特定の工務店が決まっていれば最初に聞くことができるけど、相見積りの時はそれぞれ作り方が違うから、どうしようかなって悩む。

:さっきの定尺のベニヤの話だけど、ベニヤって横にプリントしてあるじゃない?

  (ベニヤを重ねて置いた状態で横にメーカー名やF☆☆☆☆などが印字して出荷される)

  あれをそのまま天井に張ると下から見えちゃうんだよね。

:目透かし(ベニヤとベニヤの間を少し隙間を空けて張る方法)だと厚み部分の印字が見えちゃう。

:ベニヤの端落とさないと使えないんだよね。

:やっぱり定尺で納めることだけを目的に考えちゃだめなんですよね~。()

  

 

家具

 

  石:私はあまりペンキ仕上げをしないので家具を作るときの幅広の板?いつもなにを使うか悩む・・ランバー(木材を集成したものをベニヤでサンドしたパネル)で造るのか集成材でつくるのか、、、皆さんどうしてますか?

:私は金額的なこともあって、ランバーが多いかな。。

:私はムクの剥ぎ板パネルを使うことが多く、ランバーはあまり使わないかな。予算によっては使う家もあるけど。ムクの剥ぎ板のパネル材もサイズ・厚みがいろいろ揃っているので。

:そんなに高くないの?

:やっぱりランバーよりは高いけど、そのまま(仕上げ無しでも)使えるし。

:いろんな樹種があるんですか?

:基本は杉か桧。

:そっか。いつも家具の材料、悩んじゃって。

:私はシナのランバーだとちょっと下地のように感じてしまうのだけど、ラワンやタモなどのランバーだと、突き板を張った建具との相性がいいし、きれいに仕上がるよね。うまく使うとムク板みたいに見えるときもある。ランバーは安くてきれいにつくれる材料ではあるよね。

(クローゼットの間仕切など)骨組みを組んで突き板を張ると厚くなってしまうけど、2430ミリくらいの厚さのランバーで造ると薄くてきれいにできる。

石:ランバーだと大工さんで施工できるしね。

 

     

造作材の話に戻って…

 

:さっき造作材の寸法の話が出たけれど、樹種についてはどうですか。

:そうそう。造作材の樹種。その時々で価格も変わるし「時価」みたいな感じで。いつも造作材の樹種を何にするかですごく迷う。それによって建具や家具の仕上も考えるから。

:そうなんだよね。全体の雰囲気が決まるもんね。

:みんな、何を使ってる?

:私はできるだけ国産材を使いたいと思っていて、今までに使ったのは杉、桧、タモかな。予算の関係もあるし、床材や建具の雰囲気と合うか合わないかで決めるかな。

:多いのはスプルース、ピーラー(米松)かな。その他にラワンや米ヒバ、杉、米栂も使うことがあります。予算と使う場所、全体の構成で決めています。スプルースは予算を抑えたい時に使ってたんだけど、そうもいかなくなっちゃって。

:スプル-スも今結構高くなって、ピーラー並みだって聞いた。

:そうなの?

:私は存在感をあまり出したくないときはスプル-スか、ピーラーにするとそれなりに存在感がね。。

:私は自宅の時は全部杉にした。床も杉材で。私の中では、杉に代表されるような針葉樹は和のイメージがあるので、お施主さんの年代が上の時はやっぱり少し落ち着いた杉なんかが多いと思う。

:うちも実家は、構造材も何も全部杉だった。

:杉は柔らかいからね。

:掃き出し窓や人がよく通る扉の枠は、ぶつかって枠に傷がつきやすいよね。

:まあ傷は付くけど柔らかいからこそすごく気持ちいいっていうのもあるし、それ()もまた味わい!と考えるのが大事かな。

:奥村家みたいに猫の浮づくりっていうのも。()

:内さんがスプルースやピーラーの造作材を使うときは床材は何を使うことが多いですか?

:う〜ん、振りっててみて、これと言う定番が無いですね。住み手や条件によって色々です。好みで言えば、さっき話しが出た杉よりは、針葉樹なら松系が好きです。ダグラスファーとか幅広パインとか。

:無印の家具なんかの材料につかわれているような節ありのパイン材は、若い感じがする。価格も手ごろだしね。

:吉村(順三)先生は経済性というのは非常に重要である、と言っているよね。

ベニヤやメラミン化粧版もよく使っていたそうで、やっぱりお金の話は重要なんだよね。

というか、それが世の中の流れ的にやりやすいことなのであればやるべきなのではないかって。

:その中でどう整えるかっていうことが重要。。。

:そういう材料をそういう風に見せないっていう技もあるよね。

:そうだね。あとは選ぶ時の視点としては、自分が杉の床材の家で暮らしてみて、木は肌触りというか五感との関係がすごく強いように感じてる。見た目だけでなくそういった視点でも考えて方がいいと思う。

:私は針葉樹が好きなんだけど、お施主さんは広葉樹系が好きな方も多くて。

:感じが全然違ったものになるよね。

:私は広葉樹の床は疲れる気がする。

:硬いから?

:ほんっとに(杉は)柔らかくて気持ちいいんだよ~。

:お施主さんも、見た目は広葉樹がいいんだけど針葉樹の柔らかさもいいし、ということで悩む方が多いね。

ほんっとに気持ちいい。裸足が気持ちいい。

:広葉樹に比べて冬でもそんなに冷たくはならないし。

:あと塗装をしているか、どんな塗装をしてしているかでもだいぶ違うね。

:そうそう、浸透系の塗装なのか、塗膜系の塗装なのかによっても全然違う。

:ところで、ここの(いろは設計室の)床板はサネ(木材同士が噛み合うように凹型と凸型の加工)ついてる?

 :うん、ついてるんだけど、この板を大工さんに張ってもらったのが1月で、6月くらいになったらきつくなってきて盛り上がってしまって、1回直してもらったんです。大工さんが床板を張るときの調整が必要で、冬の乾燥時期には紙を挟みながらほんの少しだけ隙間をあけて張っていく人もいるし、逆に湿度の高い時期はきつめに張るとか。その辺の大工さんの感覚ってすごいですよね。(湿度の多い時期に緩めに張ってしまうと乾燥時期には木が収縮して、今度は板と板の間が空いてきてしまう)

:床板の溝が埋まってきたり詰まってきたり、そういうことで季節が感じられて面白いよね。

うちも家族でいつも話してる。

:木製建具もそうですよね。そういうことで季節を感じてもらえるのもいいですよね。

 

 

巾木(壁と床の取り合い部に設ける部材)と掃除機

 

:ところで巾木って必要?巾木、無しっていう場合もありますよね。

無しというときは壁と床は突きつけになることが多いのかな。

:私はだいたい巾木は入れているけど、無しというときはアルミのアングル(L型の金物)を使ったりしてすごく細いスリットを入れたりしてます。

:その隙間がごみも入るしまた拭けないとかいろいろあるよね。

:そしたらその隙間をあえて大きくしてルンバ(ロボット掃除機)が入るようにするとか。

:ルンバってどのくらいで入る?

:前にルンバの形状を調べたとき、巾木30あればルンバの本体が壁の仕上げを傷つけないっていう感じだったような。でももともとルンバはセンサーがついていて大丈夫なのかな?

:3年前に簡易ソファベットを設計したことがあって、結果的に隙間が数センチ高ければルンバが入って行けたってことがあってさ。

:前にテレビで、ルンバの使用前提で全ての家具が浮いて作られている部屋っていうのを見たことがありますよ。

:それってうれしいかも。

:そういうところから設計に入っていくっていう感覚は私はよくわからない。。

:ルンバの寸法も変わっていくしね。

ところで、入り巾木(壁の仕上り面より少し引っ込んで納める巾木)ってやってます?

:基本的にはやらない。

:やっぱり、壁に何か当たったり汚れたりするからですよね。

:やっぱり掃除のことが大きいよね。(掃除機などあたる部分に巾木を設ける)

:今、自宅のリフォームをセルフビルドでしているんですけど、巾木がいつまでも付けられなくて5年経ってるんです()。だけど、意外と気にならないんですよ。壁はホタテ漆喰なんですけど、掃除機があたったり雑巾で床を水拭きしても意外と大丈夫。

:出隅部分じゃなければ大丈夫ってこと?

:いや、私が思っていたよりも汚れないし、傷つかないってこと。でも巾木は必要だと思っています。

:意外と巾木のチリ(壁より出ている為に生じる巾木の上面)の部分のホコリを掃除することを考えると、結局はその部分が「床×壁」と同じ関係になっているということもある。

出巾木の意味は、掃除機や雑巾が当たるっていうことが大きいのかな。

:そうだよね。でもこうして部屋の中を見てみると、家具や窓があって幅木が見えているところって意外と少ないよね。。

:枠との納まりとか家具との納まりとか、巾木って結構難しい。今の作り方なら巾木は無くても結構大丈夫なのかもしれないね。昔は塗り壁も塗り厚が結構あって傷がつきやすかったかもしれないけど今は石膏ボードや硬いものを下地にして薄塗りということが多いしね。

:でも床が針葉樹系だと(反りやすいので)巾木無しはきついかも。

:床板を広葉樹か、針葉樹でも巾の狭い材料にするとかすれば反りが少しは小さくなるのかな。

 

 

階段

 

:あと階段だよね。階段の巾木っていうのは(段の形状なりに作るのは)大工さんは苦労する。

:大工さんの部分だけを見ると大変なんだけど、家全体の仕上げなどの施工のことを考えると、あった方がきれいに納まりやすい。

:仕上げ関係の、例えば左官屋さんなんかは巾木があった方が絶対にやりやすいからね。

:あとあとのメンテナンスのことなども考えて、工務店さんからはつけてほしいと言われることが多いですね。  …階段材は何を使うことが多いですか?最近はJパネル(乾燥させた杉板を繊維方向にくっつけ、三層構造にした杉パネル)を階段板に使った家を見ることも多いですがどうですか?

:私は構造材の松の梁を裂いてもらって使ったことが何回かあります。

:反らないの?

:乾燥材なので特に問題は無かったけど、回り段のある家はちょっときつい。。三角の部分が大きすぎるので、直階段か踊り場のある階段プランじゃないと難しいです。

構造材なので安価だし、ムク材のよさはすごくあったよ。…ムクの階段材、何を使ってる?

:杉の時もあるけど、杉だと少し柔らかいので桧や松を使うこともある。でも今設計中の家ではムク板だと予算的にきびしそうなので、初めてJパネルを使ってみようかと思っているんだ。

:階段は階段だから、他の部分と違ってもいいかなということはあるよね。

:毎回何を使うかというのは悩むところではある。

:そうですよね。毎回同じようなところで手が止まる。

:お施主さんによっても、杉は柔らかいけどそれがいいという方とそうじゃない方とがいるし。

:いつもゼロから悩むのか、それとも自分の中にいくつかの定番があってそこから悩んでいる?

:それはある程度の定番はあるよね。設備や照明器具もそうだけど。

予算のこともあるのでそういういろいろな状況から選んでいくんだよね。。

:予算を削減するということでいえば枠なし・巾木なしということも、今までの常識と違う方向で考えてみるのも必要かも。

:同じ数のパーツを使っている限り、コストは落ちないですよね。

:どうしたら簡素で美しくコストが抑えられるか、常識に定着した贅肉は有るのか、そういうこともよく研究してみたいですね。