家具と建築と設え

7月25日ウチアトリエにて、「家具と建築」というテーマを5人で語り合いました。(その座談会の内容はこちらをクリックしてください)

その「家具」という言葉。とても身近ですが、どこからどこまでを家具とよぶのか、その範囲や分類は実に複雑で曖昧です。それは、機能や種類が多義にわたっているため、また日本の住まいの歴史の中で家具(設え)が変化しているためです。前回の座談会でも、5人の中で私が指している家具が少しずれていたのかもしれないなと感じました。そして住み手は設計者がどこまで家具に関わっていくのか、分かり難いだろうと改めて感じたので整理しようと思います。

 

まずはその曖昧な言葉「家具」について、建築大辞典を引いて基本に戻ることにしました。

 

家具は人間の行動や動作に密接に結びついて人間活動を補助する役割がある。建築よりも人間的に関与し、建築と人間の活動の接点に位置している。

 

全くその通りで、特に後半の文章は家具の核心そのものです。

住宅の中での家具の位置づけをズバリ説明してくれています。

 

次に、家具を人間寄り・建築寄りという視点で分類し、整理してみることにします。

①人間よりの家具→人を直接ささえる家具(チェアやソファ)

②人と建築の間の家具→作業をする、物をのせるための家具(テーブル、デスク、調理台)

③建築よりの家具→収納する、空間を仕切る家具(戸棚、本棚、クローゼット)

 

①~③の家具との関わり方は、設計者によって違うと思いますが、ウチアトリエの場合を例に説明します。

建築よりの家具(③)は設計者が建物と共に設計し、工事の中で製作します。

人間よりの家具(①)は、既成品を購入することが多いです。一品生産は難しいためです。設計者としてお勧めの家具を紹介することもあります。

中間の家具(②)は、設計者が計画する場合と既成品で対応する場合があり、条件によって使い分けています。

 

分かり難いので、「花水木の家」の家具を具体的に分類してみました↓

製作は、私が設計をして工事の中で作ってもらったもの。購入は既成品を購入したもの

製作の場合は、家具屋さんがつくる家具と、大工さんがつくる家具があります。その違いはまた改めて。

やはり住宅の中では建物と家具の領域が曖昧ですね。

 

次に設え(しつらえ)について。

語源は「室礼・鋪設(しつらい)」平安時代、広い空間に座臥具(置畳や円座など)で場をつくり、障屏具(屏風、几帳など)で空間を分節し、連結し、行為に応じて使い分け、飾り立てた事。

私は人の暮らしに合わせて用意しておくことを「設え」と言っています。建具で言えば夏には簾戸、冬には障子を。家具でいえば、物がおさまる所を。その他、帽子をかけるフックをつけるとか、飾り棚をつけるとか、ちょっと腰かけるベンチをつくるとか。つまり、しつらえの一部に家具があります。

 

もともと日本は座敷の文化で、西洋のように、建築と家具が完全に別物というものとは違います。

西洋は建物(箱)の中に絨毯を敷き、窓にカーテンをかけ、ベットや椅子、テーブルを置くことで完成します。

それに比べて日本は、床には畳が敷かれ、障子があり、布団は押入れに収納して、ちゃぶ台と座布団を移動させながら生活をしました。飾棚は床の間として立派に建築の一部として構成されていましたし、襖は出入口であると同時に仕切り壁となり、間(部屋)を自由に広げることができました。

そのような歴史を辿っても、わが国は建築と家具・設えが密接な関係で一体化しているというのがわかります。それが日本の住まいの大切な特徴です。現在でも私達の住まい方にはその伝統やDNAが残っていると感じています。

「建築」と「家具」と「設え」、その曖昧な領域の中で共に考えて、暮らしの場を作っていきたいと私は思っています。そして出来れば、家具は家の中の器具(装置)ではなく道具として、人に寄り添うものであって欲しいと強く思います。

 

2013.08.16

ウチアトリエ/内 美弥子